キングダムの物語で、涙なくしては語れない「馬陽の戦い」。この記事を訪れたあなたは、この壮絶な戦いの全貌について、深く知りたいと思っているのではないでしょうか。
作中でも屈指の人気を誇る将軍・王騎の壮絶な最期や、主人公・信が大きく成長するきっかけとなったこの戦いには、多くのドラマが詰まっています。そもそも馬陽とはどのような場所だったのか、複雑に絡み合う登場人物たちの関係性、特に秦の怪鳥・王騎と、彼を討つために現れた趙軍の動きは物語の核心です。
また、戦いの裏で暗躍する軍師や、別の場所で異変を察知する楊端和の存在も、物語に深みを与えています。
この記事では、読者の皆様が抱くであろう、衝撃的な死亡キャラクターの結末や馬陽の戦いの後の物語への影響、さらには史実との違い、原作漫画で何巻から読めるのか、アニメでは何話に相当するのか、といった多岐にわたる疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
・王騎の死という衝撃的な結末を深く理解できる
・原作漫画やアニメで該当する話数が正確にわかる
・物語と史実における馬陽の戦いとの違いがわかる
キングダムにおける馬陽の戦いの全貌
・物語を彩る馬陽の戦いの登場人物
・秦と趙、両軍を率いた将軍たち
・総大将・王騎が抱く過去との因縁
・龐煖と李牧が仕掛ける趙軍の策
・別の戦局を動かす楊端和の存在
舞台となった地、馬陽とはどんな場所か
キングダムにおける馬陽とは、秦と趙の国境付近に位置する、物語の重要な転換点となった城およびその周辺地域の名称です。この地は、単なる戦いの舞台というだけではなく、登場人物たちの過去の因縁が深く刻まれた場所として描かれています。
この戦いの9年前、馬陽は王騎と、当時六大将軍であった彼の婚約者・摎(きょう)、そして若き日の昌文君が共に戦い、秦国の領土として奪い取った地でした。摎にとっては、王騎に「城を百個手に入れたら妻にしてほしい」という約束を果たす、記念すべき百個目の城となるはずだったのです。
しかし、その目前で趙国の武神・龐煖(ほうけん)の奇襲に遭い、摎は命を落とします。この悲劇により、馬陽は王騎にとって忘れられない深い悲しみと怒りの地となりました。
したがって、今回の馬陽防衛戦は、秦国にとって領土を守るための戦いであると同時に、王騎個人にとっては、過去の因縁と決着をつけるための運命的な戦いでもあったのです。
物語を彩る馬陽の戦いの登場人物
馬陽の戦いには、物語の行く末を左右する数多くの魅力的な登場人物たちが関わっています。それぞれのキャラクターが持つ背景や目的が複雑に絡み合い、壮大なドラマを生み出しました。
ここでは、主に秦国軍と趙国軍に分けて、主要な登場人物を紹介します。
軍勢 | 役職/立場 | 人物名 | 備考 |
---|---|---|---|
秦国軍 | 主人公・百人将 | 信(しん) | 王騎から「飛信隊」の名を授かる |
総大将 | 王騎(おうき) | 元六大将軍。「秦の怪鳥」の異名を持つ | |
副将 | 騰(とう) | 王騎の腹心。独特の口調が特徴 | |
副将 | 蒙武(もうぶ) | 猛将として知られる呂氏四柱の一人 | |
飛信隊副長 | 羌瘣(きょうかい) | 伝説の暗殺一族「蚩尤」の末裔 | |
趙国軍 | 総大将・武神 | 龐煖(ほうけん) | 自らを武の求道者と称する三大天の一人 |
軍師・三大天 | 李牧(りぼく) | 趙軍の真の総司令官。天才的な策略家 | |
将軍 | 馮忌(ふうき) | 知将として評価されるが、飛信隊の標的となる | |
将軍 | 万極(まんごく) | 長平の戦いの生き残りで、秦に深い憎悪を抱く | |
将軍 | 趙荘(ちょうそう) | 李牧の策を実行する前線の軍師役 | |
その他 | 山の民の王 | 楊端和(ようたんわ) | 北方で趙軍の不穏な動きを察知する |
これらの登場人物たちが、それぞれの思惑を胸に馬陽の地で激突します。信の成長、王騎の決意、そして李牧の恐るべき策略が、この戦いの大きな見どころとなっています。
秦と趙、両軍を率いた将軍たち
馬陽の戦いは、両軍の将軍たちの力量と個性が勝敗を大きく左右しました。ここでは、軍を指揮した主要な将軍たちに焦点を当てて解説します。
秦国軍の将軍
秦国軍の総大将は、長らく第一線から退いていた伝説の元六大将軍・王騎が務めました。彼の圧倒的な存在感とカリスマ性は、急ごしらえの兵が多い秦軍の士気を大いに高めることになります。
副将には、王騎の腹心である騰と、猛将として名高い蒙武が配置されました。騰は王騎の意図を完璧に理解し、柔軟な指揮で軍を動かします。一方、蒙武は持ち前の破壊力を武器に中央軍を率いて、趙軍に猛攻を加えました。個性の異なる将軍たちが、王騎の下でそれぞれの役割を果たす構図です。
趙国軍の将軍
表向きの総大将は、武神と称される三大天・龐煖でした。彼の個人の武力は計り知れず、その存在だけで秦軍に恐怖を与えます。しかし、実質的にこの戦いの全てを計画し、指揮していたのはもう一人の三大天である天才軍師・李牧でした。
前線では、馮忌、万極、趙荘といった将軍たちが李牧の策略の駒として動きます。特に趙荘は軍師としての役割も担い、秦軍を罠にかけようとしますが、その動きすらも王騎にはある程度見抜かれていました。趙軍は、李牧という絶対的な頭脳の下、組織的に秦軍を追い詰めていきます。
総大将・王騎が抱く過去との因縁
王騎がこの馬陽の戦いで総大将を引き受けたのには、単なる愛国心だけではない、個人的で深い理由がありました。彼の行動の根底には、9年前にこの地で起きた悲劇と、龐煖への強い因縁が存在します。
前述の通り、馬陽は王騎の婚約者であった摎が龐煖に討たれた場所です。王騎自身も、激昂して龐煖に斬りかかり深手を負わせましたが、討ち取るまでには至りませんでした。この出来事以来、王騎は戦の第一線から距離を置いていたのです。
そのため、趙軍の総大将が龐煖であると知った上で馬陽へ向かうことは、王騎にとって9年越しの因縁に決着をつけることを意味していました。
さらに、出陣前には秦王・嬴政と会談し、彼の口から昭王の遺言と中華統一への覚悟を聞きます。嬴政の中に次世代の王の器を見出した王騎は、「共に中華を目指す」という新たな目標を掲げ、過去のしがらみを乗り越えるため、そして未来を託す王のために再び戦場へ立つことを決意したのです。
龐煖と李牧が仕掛ける趙軍の策
趙軍が馬陽の戦いで見せた作戦は、単なる力押しではなく、天才軍師・李牧によって緻密に計算された恐るべきものでした。その策の核心は、武神・龐煖の武力と李牧の知略を組み合わせ、秦国の伝説である王騎を確実に葬ることにありました。
まず、李牧は秦国をはじめとする他国に自身の存在と趙軍の真の狙いを悟られないよう、徹底した情報封鎖を行います。表向きの総大将を龐煖とすることで、秦国の意識を「龐煖との力勝負」に向けさせました。
その裏で李牧は、北方の脅威であった遊牧民族・匈奴の十万の軍勢を壊滅させます。そして、この事実に誰も気づかないうちに、自身の軍を率いて驚異的なスピードで南下し、馬陽の戦場へ向かいました。
彼の狙いは、王騎軍と龐煖軍が激しくぶつかり合い、秦軍が消耗したタイミングで自らの軍を投入し、挟撃することで王騎を逃げ場のない状況に追い込むことでした。王騎の行動パターンや思考すらも読み切った上で立てられたこの作戦は、まさに完璧な罠と言えるものでした。
別の戦局を動かす楊端和の存在
馬陽の戦いが繰り広げられている頃、本戦とは離れた北の地で、山の民を率いる王・楊端和が趙軍の不穏な動きを察知していました。この楊端和の動きは、物語上、李牧という存在の恐ろしさを読者に示す重要な伏線として機能します。
楊端和は、趙の北部に広がる地で、人間業とは思えないほどの凄惨な虐殺の跡を発見しました。それは、趙が長年苦しめられてきたはずの強大な敵・匈奴が、短期間のうちに一方的に殲滅されたことを示す痕跡だったのです。
この光景を目の当たりにした楊端和は、趙国に化け物級の力を持つ、まだ表舞台に現れていない人物がいることを直感します。彼女が察知した「化け物」こそが、匈奴を討伐し、その足で馬陽へ向かっていた李牧に他なりません。
咸陽にいる秦国の中枢部ですら掴めていなかった李牧の存在と、その計り知れない実力を、戦場から遠く離れた場所で楊端和が察知していたという描写は、李牧の脅威をより一層際立たせる効果的な演出となっています。
キングダム馬陽の戦いの結末と深掘り情報
・戦いの結末と死亡した主要キャラ
・戦いが信と秦国に与えた影響
・漫画何巻、アニメ何話で見れる?
・この戦いは史実に基づいているのか
・キングダムにおける馬陽の戦いを総括
楊端和が北の地で目撃したもの
馬陽の戦いが秦国の中央で激しく繰り広げられている頃、物語の視点は一時的に北の辺境へと移ります。そこでは、山の民を率いる美しき王・楊端和が、後の戦局を暗示する、ある恐るべき光景に遭遇していました。
楊端和は、趙の北部に広がる地で、およそ人間業とは思えないほどの凄惨な虐殺の跡を発見します。それは、趙が長年その対応に苦慮してきたはずの強大な騎馬民族・匈奴(きょうど)が、まるで一方的に、そして短期間のうちに殲滅されたことを示す痕跡でした。
この異様な光景を目の当たりにした楊端和は、趙国にまだ表舞台に現れていない、計り知れない実力を持つ「化け物」級の人物がいることを瞬時に直感します。
言うまでもなく、彼女が察知したこの「化け物」こそ、匈奴十万を討伐し、その足で馬陽へ向かっていた天才軍師・李牧に他なりません。本戦とは直接関係のない場所で描かれるこのエピソードは、咸陽の中枢部ですらその存在を掴めていなかった李牧の脅威と計略の深さを、読者にいち早く示す重要な伏線として巧みに機能しているのです。
戦いの結末と死亡した主要キャラ
馬陽の戦いは、秦国にとってあまりにも大きな代償を払う、衝撃的な結末を迎えました。激しい一騎討ちの末、王騎は龐煖を追い詰めますが、そこに李牧の率いる別動隊が到着し、戦況は一変します。
中華十弓・魏加の凶弾
退路を断たれ、圧倒的な兵力差で挟撃される絶望的な状況の中、王騎は最後の力を振り絞り、再び龐煖に決着をつけようとします。しかし、その瞬間、李牧軍に所属する中華十弓の一人・魏加(ぎか)が放った一本の矢が、王騎の背中を深々と貫きました。
この一矢が致命傷となり、動きが鈍った王騎は龐煖の矛を胸に受けてしまいます。信は怒りに任せて魏加を討ち取りますが、大勢は決してしまいました。
王騎の最期と矛の継承
瀕死の重傷を負いながらも、王騎は将軍としての威厳を失いませんでした。駆けつけた騰や蒙武、そして信たちの決死の奮闘により、かろうじて戦場からの離脱に成功します。
追撃してこない趙軍から逃れた山中で、王騎は最期の力を振り絞り、部下たちに言葉を遺します。騰には王騎軍の未来を託し、蒙武には共に戦ったことへの感謝を伝えました。そして、信に対しては「天下の大将軍ですよ」という自身の生き様を示し、愛用の矛を託して静かに息を引き取りました。
この戦いでは、他にも信をかばって命を落とした飛信隊の初期メンバー・尾到(びとう)など、多くの犠牲者が出ています。
戦いが信と秦国に与えた影響
馬陽の戦いは、主人公・信の成長と秦国の未来に、計り知れないほど大きな影響を及ぼしました。
信個人にとって、この戦いは多くのものを得ると同時に、大きなものを失う経験となりました。まず、王騎から「飛信隊」という部隊名を授かり、将としての第一歩を力強く踏み出します。趙将・馮忌を討つという大功を挙げ、戦いを通して将軍の見る景色を垣間見ることができました。そして何より、王騎の最期に立ち会い、その矛と思いを直接受け継いだことは、彼の生涯の道標となります。
戦後、信は三百人将へと昇進しました。しかし、その直後に味方であるはずの秦国軍の一部が略奪行為に及んでいる場面に遭遇し、これを許さずに隊長を斬ってしまいます。
この行為により、信は地位を剥奪されかけるという大きな試練に直面しますが、結果として彼の正義感の強さを示すことになりました。
一方、秦国全体としては、中華全土に名を轟かせた六大将軍最後の生き残りである王騎を失ったことは、計り知れない損失でした。
国の象徴ともいえる英雄を失ったことで、秦の武威は一時的に大きく揺らぎ、他国に侮られる一因となります。この敗北は、嬴政が進める中華統一の道のりが、決して平坦ではないことを改めて天下に示す出来事だったのです。
漫画何巻、アニメ何話で見れる?
キングダムの馬陽の戦いは、原作漫画とアニメの両方で非常に丁寧に描かれており、物語の中でも特に重要なエピソードとして位置づけられています。
これからこの戦いを見たい、あるいは見返したいという方のために、該当する巻数と話数を以下にまとめました。
メディア | 該当範囲 |
---|---|
原作漫画 | コミックス11巻 第108話 ~ 16巻 第173話 |
テレビアニメ | 第1シリーズ 第26話 ~ 第38話 |
原作漫画では、全6巻にわたる長大なボリュームで、戦いの始まりから終わりまで、各キャラクターの心理描写も深く掘り下げられています。特に、王騎と龐煖の因縁や、李牧の策略の巧妙さが際立っています。
テレビアニメでは、第1シリーズの後半をほぼ全て使ってこの戦いを映像化しています。声優陣の迫真の演技や、迫力ある戦闘シーンが見どころです。特に、王騎の最期のシーンは多くのファンの涙を誘いました。
また、2024年7月に公開された実写映画第4弾『キングダム 大将軍の帰還』では、この馬陽の戦いのクライマックスが描かれており、映像作品としても楽しむことができます。
この戦いは史実に基づいているのか
キングダムは史実をベースにした物語ですが、馬陽の戦いに関しては、作中のドラマチックな展開の多くが作者である原泰久先生による創作です。史実と物語の違いを知ることで、より深く作品を楽しむことができます。
史実における登場人物
まず、物語の中心人物である王騎ですが、史実では「王齮(おうき)」という将軍が実在し、作中で王騎が死亡したとされる年と同じ年に亡くなった記録が残っています。しかし、その死因や具体的な戦いの内容は不明であり、龐煖との一騎討ちで亡くなったという事実は存在しません。
同様に、龐煖や李牧も実在の人物ですが、この時期に彼らが馬陽で王齮と戦ったという記録はなく、彼らの因縁は物語を盛り上げるためのフィクションと考えられます。
主人公の信のモデルである「李信」も実在しますが、彼が元下僕であったり、王騎の部下としてこの戦いに参加したりしたという史実はありません。
史実の出来事との関連
作中では、秦が韓に侵攻している隙を突いて趙が攻めてきた、という流れで馬陽の戦いが始まります。史実でも、この年に秦の将軍・蒙驁(もうごう)が韓に侵攻していた記録はありますが、それに呼応して趙が秦に侵攻したという記録は見当たりません。
したがって、キングダムにおける馬陽の戦いは、史実の断片的な記録(王齮の死、蒙驁の韓侵攻など)を元に、作者が自由な発想でキャラクターたちのドラマを再構築した、壮大な創作エピソードであると言えます。
キングダムにおける馬陽の戦いを総括
この記事では、キングダムにおける馬陽の戦いの全貌を多角的に解説しました。最後に、この戦いの重要なポイントをまとめます。
- 馬陽の戦いは秦と趙の国境で繰り広げられた大規模な防衛戦
- 主人公・信が王騎から「飛信隊」の名を授かった記念すべき戦い
- 秦の総大将は伝説の元六大将軍・王騎
- 王騎は9年前に婚約者・摎を討たれた因縁の地で再び指揮を執った
- 趙の表向きの総大将は武神・龐煖
- 戦いの実質的な指揮官は天才軍師・李牧であった
- 李牧は徹底した情報封鎖と奇襲で王騎軍を罠にかけた
- 信は特命を受け趙の将軍・馮忌を討ち取る大功を挙げた
- 山の王・楊端和は北の地で李牧の恐ろしさをいち早く察知していた
- クライマックスで王騎は中華十弓・魏加の矢により致命傷を負う
- 王騎は龐煖との一騎討ちの末に敗れ、帰らぬ人となった
- 王騎は最期に信へ自身の矛と思いを託した
- 秦国は王騎という偉大な将軍を失い大きな痛手を負った
- この戦いは漫画11巻から16巻、アニメ第1シリーズ26話から38話で描かれる
- 物語の展開の多くは史実とは異なる創作である
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